【JMT】ヨセミテバレーへ

線路の上で。やっと落ち着いて食事を摂れた。

サンフランシスコに着いた日、つまり僕が人生で初めてアメリカに訪れた日は、John Muir Trail (以下JMT)を歩き始める前日だった。その翌日から僕は、シエラネバダ山脈という人里離れた乾燥した高山地帯で、まるまる3週間を歩き、食べ、眺め、寝て、誰かと話をして過ごした。そしてJMTを歩き終え、空港のあるロサンゼルスに戻ったその日のうちに飛行機に飛び乗って日本へと帰国した。だから僕のアメリカのイメージは未だに、ウィルダネスと乾燥した大地と陽気な人々だ。

たまにアメリカに訪れたことを誰かに話すと、「どこを観光してきたの?」と聞かれる。そこで、「山の中を3週間歩いていたんだよ。シエラネバダ山脈って分かる?」と答えると、大抵の人はポカンとした顔をする。確かに、高校生の僕がその答えを聞いても、「なぜ、わざわざ山を歩くためにアメリカまで?」と思っただろう。「JMTっていう340kmの山の中に作られた長い道があってさ、衣食住を詰め込んだバックを背負ってひたすら歩くんだ!」とハイテンションで伝えても、まったく響かないアクティビティ。また、”観光”や”旅行”という言葉では言い表せない、ロングトレイルのスルーハイク。

腹ごしらえをして宿に戻った夕方、はじめての時差ボケでふわふわした感覚を持て余しつつ、アメリカ到着を iPhone 4s で友達にLINEで報告した。そして明日のことを考えているうちに、21時ころには深い眠りへと落ちていった…

目次

慌ただしい1日のはじまり

目が覚めた瞬間、”やばい” と思った。
ぐっすり寝てしまった感覚があったからだ。

まだ外は暗く、一日中寝てしまったのかと焦るが、日付は変わっていない。
腕時計を見ると22:30を少し回ったところで、1時間半ほど寝ただけだった。

安堵し、ため息をついた。「はぁ~~、よかった。」
どうやら僕は明日を待ちきれないらしい。
しかし、明日からもう歩き始めるので、少しでも体力を温存しておきたい。
目を閉じ、出発時間と駅への道のりを思い浮かべ再び夢の中へ。


目が覚めて、”やばい” と思った。寝過ごした感覚があったからだ。
腕時計を見ると、バスの出発時刻の15分前。
”やばい、遅れる!” 
これはまじでやばい。

ドミトリーの2段ベッドの上段で飛び起きた。服装も、パッキングも前もって準備している。
すぐさま重たいバックを背負いチェックアウトに向かう。

予定では6:00にこの宿を出る予定だったのに、今は6:50。ここから駅まではゆっくり歩いて20分。
バスは7:05に出る。残り15分。
見知らぬ道を硬いトレッキングブーツで駆け出した。

こんなはずじゃなかった。
朝はゆっくり準備して、熱いコーヒーを淹れて、これからの日程を再確認する。
そんな優雅な時間をイメージしていた。
「これが本物の breakfast だよな。Haha。」と浸ろうと思っていたのに…

現実は汗だくで、ハァハァ言いながら一分一秒に追われて、
必死な形相で、決して乗り遅れまいと駅に向かって走っている。
ここで、乗り遅れたら全ての計画にずれが生じる。余分に時間と費用がかかる。
なんとしてでも間に合わなければならない。
大声で自らの主張を叫びながら歩いている人を横目に、走った。

駅が見えてきた。
もうバスが来ている!もうみんな乗り込んでいる!!
”待ってくれ!”と心のなかで叫び、なんとか滑り込んだ。
車掌さんが”しょうがねえやつ”だというように手続きしてくれたので、乗車に成功した。

ここらへんは記憶が曖昧なのだけど、ギリギリ間に合ったことは確かだ。
なんとか、旅を始めるスタートを切ることができたのだ。危なすぎた。

教訓

旅のはじまりは特に、時間に余裕を持とう。寝れなかったらむしろ寝ないほうが良いかもしれない。終わりよければ全てよしと言うが、はじめも肝心だ。それでももし、寝坊したり、時間に余裕がなくなってしまったとしても、希望がある限り諦めず粘ろう。無様に走ろう。最後までどうなるかわからないのだから。
たとえ結果として間に合わなくとも、それはそれだ。

P.S. 
はなから諦めて、今までの予定をすべて無しにして、アドリブで旅を始めるのも嫌いじゃないよ♥

アムトラック(Amtrak)でヨセミテへ

simon1234567によるPixabayからの画像

アメリカ大陸を横断する鉄道のアムトラック(Amtrak)の駅にアクセスするために、各市街地からシャトルバスが出ている。
サンフランシスコで僕がいたエリアから一番の最寄り駅はエメリービル駅だった。市街地からそこまでバスで30分ほど揺られて向かう。
エメリービル駅からマーセドというところまでは3時間の鉄道の旅で、マーセドからJMTのスタート地点であるヨセミテ国立公園に行くにはバスに乗り換える必要がある。つまり、サンフランシスコからヨセミテまでは、『バスー鉄道ーバス』の約6時間の移動の旅なのだ。

鉄道はカリフォルニアの乾燥した大地を突っ切って伸びている。

アムトラックの車窓から

ヨセミテ公園に無事に着いたけれど、すんなりとJMTは始まらなかった。

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この記事を書いた人

Hikers Guild の代表です。
自然の中を歩くことを何よりも愛しています。
歩くことの可能性をすこしでもお伝えできたらと、
そう思いこのサイトを運営しています。

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