その木は門であり、島人を守る城壁でもあった【中間のガジュマル】

もうどこからが根っこで、どこからが枝なのか

樹齢300年を超えるという、ガジュマルとアコウという2つの木の共存生命体がいる。鹿児島県熊毛郡屋久島町、つまり屋久島の中間(なかま)という集落に、デンと門のようにそれは立っている。昔々、台風の強風から集落を守るために、防風の役割を期待し植えられたとされている。この付近にはこれとは別に幾本かの大木が、今なおその役割を果たし続けている。その”入り口”は、成人男性が3、4人横に並べるぐらいの広さで、木自体の横幅は5、6mはあるるだろうか。樹齢3000年とも言われる、屋久島の山の中にひっそりと立つ縄文杉とはまた違った迫力が、この木にはあった。僕が訪れた時はちょうど日が暮れようとしている時間帯で、その時間特有のどこかノスタルジックな空気が流れていた。その雰囲気が僕自身を、遠征を終え疲れ果てながらも城に帰還した戦士であるかのように思わせ、そして目の前の木を、戦士を迎える城門のように感じさせた。日没近く、仕事を終え海や山から帰ってきた島人達は、いつも変わらず迎えてくれるこの家守る木に、今日も無事に我が家に戻れたという、安堵の想いを抱いてきたのではないか。車のサイドミラーに映るその木から視線を前に移し集落を抜けると、西の空から海までを眩しいくらいに輝かせる太陽が僕の目を捉えた。人は、なにかを守るために生き、なにかに守られながら生きていくのだ。

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この記事を書いた人

Hikers Guild の代表です。
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